農業と金融 後編
木島平村はスキー場だけではありません
「良いものだから売れるとは限らない」
9日、長野県木島平村のT農園さんにお話を伺いに行ってきました。
今の時期、稲刈りがほぼ終わり、野菜の収穫などに追われる
お忙しい中、時間を作っていただきました。
農園の規模としては、お米の生産は年間約20t、
ご家族を中心に7〜8人のスタッフで働いています。
T農園さんの特筆すべき点は、お米の生産の約5割が個配、
個人宅を中心にお米の行き先が決まっているところ、
ほとんどがリピーターです。
あまり知られていませんが、長野県で木島平村といえば、
「お米の美味しいところ」と評判が高いところです。
新潟県の魚沼産コシヒカリに匹敵する、良質のお米を生産しています。
「農家の数だけ、問題点はある」
代表のTさんは、このように指摘しています。
SNSでブランド力を高め、インターネットなどの販売も
考えているが、とても手が回らないと。
「自然を相手にしているので、毎年同じものはできない」
今年の夏は経験したことのないような暑さが続き、
お米の収穫も例年より1週間も早かったそうです。
この結果、暑さが収まらないまま稲が寒暖差にあたらず収穫を迎え、
従来のお米のネバネバ感が少し低くなってしまいました。
もう一度整理してみると、お米の場合
1.農家さんがお米を生産
2.現地で集荷、出荷
3.販売(直売、店舗、ネットなど)
となります。
ご承知の通り、従来までですと、
2と3はJAに依存することが多かったです。
また、1の農家さん以外は法人化していて、
不安定な経営に陥ることも多く、
「三方良し」の図式にはなっていません。
1〜3までが直線となり、正三角形で利益配分も均等いう訳には
なかなかいかないのが現状です。
次回の「まとめ編」では、
こうした問題点を捉え、解決するにはどうしたらよいのか、
考えていきます。